概要
建設現場で使用される化学物質の多様化に伴い、化学物質による労働災害防止のために法規制が行われました。(安衛則2024年4月 施行)
リスクアセスメント対象物(生コン・地盤改良材・塗料・接着剤等)、つまり安全データシート(SDS)が存在する材料を現場で使用する全ての事業者が対象となります。

なお、元請からの材料支給の場合には、実際に作業する協力会社がリスクアセスメントの実施と対策を行う必要があります。これは、孫請けの一人親方でも各自実施の義務があります。
従業員の健康と安全の為にも、材料の適切な管理と従業員への安全指導を行いましょう。

業種区分 | 主な化学物質含有使用材料(例) |
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大工工事 | 型枠剥離剤、コンクリート打継処理剤、表面保護剤、木材防腐剤 |
左官工事 | セメント、防水材、コンクリート混和剤、パーライトプレミックスモルタル、着色剤、モルタル接着剤、増強剤 |
とび、土工、コンクリート工事 | グリース油、塗料、サビ落としスプレー、セメント系固化剤、ベントナイト、ph調整剤、中和剤、軽油、止水剤、石灰粉、溶接、地盤改良剤、土質安定注入薬剤、混和剤、アンカー注入剤 |
電気工事 | 耐火パテ、絶縁塗料、ハンダ |
管工事 | 接着剤、スプレー塗料、配管洗浄剤、冷媒ガス、モルタル、ペンキ、ライニング材、発泡剤 |
鋼構造物工事 | さび止め、保修ペンキ、溶接・溶断、ローバル、アセチレンガス、耐火補修材、表面処理剤 |
舗装工事 | アスファルト、石灰、凍結防止剤、道路用特殊塗料、常温合材、クラック防止材、カラー舗装材、アスファルト乳剤、タール、無収縮モルタル |
鉄筋工事 | 溶接接手、溶断、ガス圧接 |
塗装工事 | 希釈材、特殊塗料、プライマー、ラッカースプレー、ライニング材、防塵塗装、剥離剤 |
防水工事 | アスファルト、プライマー、モルタル、シーリング材、希釈材、洗浄液 |
内装仕上げ工事 | 接着剤、クリーニング材、シール材、補修材、発泡剤 |
1.化学物質管理者の選任の義務化
- 事業場(会社)に1人以上の選任が義務化、役職者が望ましい。
- 有資格要件はないが、化学物質の管理に関する講習の受講が推奨
- リスクアセスメント(作業の危険性の見積と対策の検討)の実施・管理と、その結果に基づく対策の実施・管理。
- 安全データシート(SDS)・建災防版リスク管理マニュアル・NITE-CLIP・CREATE-SIMPLEの活用によるリスクアセスメント
- 各種記録の作成・保存。
- 記録は3年間の保存義務(無収縮モルタルなど発がん性物質を含む場合は30年間保存)。
- 労働者への周知・教育、労働災害が発生した場合の対応。

2.保護具着用管理責任者の選任の義務化
- 事業場(会社)に1人以上の選任が義務化、役職者が望ましい。化学物質管理者との兼任可能。
- 保護具着用管理責任者に対する教育の受講が必要
- 適正な保護具の選択・保守管理、労働者の使用状況の管理・必要な指導。
3.化学物質への直接接触の禁止
- 保護メガネ・保護衣・保護手袋又は保護具の使用。
- 化学物質を使用する際はコンタクトレンズを推奨しない。
- 化学物質被災時にコンタクトレンズを着用していると眼球への損傷が大きくなる傾向。

4.リスクアセスメント結果等に係る記録の作成及び保存
- 建災防の化学物質取扱い作業リスク管理マニュアルのテンプレートの中から作業に即したものを活用。建設業のおける化学物質取扱いリスク管理マニュアル(建設業労働災害防止協会版)
- 記録の3年間の保存(発がん性物質を含む場合は30年間 例:無収縮モルタル)。
- 協力会社へ材料を支給する場合は安全データシート(SDS)・危険有害性に関する情報等を協力会社に提供。
- 作業を外注する場合、外注先の協力会社にリスクアセスメントの実施責任。
